About "Up Through The Trees"
"Up Through The Trees"はほとんど何の計画もないまま、われわれ3人が、3月に起った、地震、津波、さらにそのあと発生した原子力発電事故による災害の被災者の助けになるのなら〜という想いだけで作られた作品です。楽曲は、NYでの演奏に先だって、僕とサウンドアーティストのステファン・ヴィティエッロとのリハーサル時に行われた、ギターとアナログシンセサイザーによるインプロヴィゼーションでスタートしました。ちょうどリュウイチからkizunaworldプロジェクトに参加しないかと誘いを受けており、リュウイチがこの作品で僕らとコラボレーションが出来るタイミングでもありました。前週のリハーサルでのスタジオ録音が使われることになり、そこに静かなピアノが加えられたことで最終形として完成したものになりました。この作品は地球の反対側にいる被災者のみなさんにどう手を差し伸べ、また数多くの被災者のみなさまにもたらされたこの困難にどう立ち向かえばいいのか、を考えるための静寂と沈思の静かな作品です。(Taylor Deuree / テイラー・デュプリー)
Stephen Vitiello / ステフェン・ヴィティエロ
ステフェン・ヴィティエロはこれまでに「New Albion」、「Sub Rosa」そして「12k」などのレーベルのためにアルバムを制作してきた。またサウンド・インタレーションは世界各地で展示されている。1989年より、ナム・ジュン・パイク、ポーリン・オリベロス、スティーヴ・ローデン、スキャナー、ローレンス・イングリッシュそしてマシーンファブリクなど数多くのミュージシャンやヴィジュアル・アーティストとのコラボレーションを果たしている。
Taylor Deupree / テイラー・デュプリー
テイラー・デュプリーは実力派の音響作家であり、リッチでアブストラクトな雰囲気を持つそれらの作品群は数多くのレーベルから発売されるまたICC(東京)や山口芸術情報センター(山口)など、限定した場所において制作されるインスタレーションにより知られている。1990年代より、ミニマル・テクノの領域の外側に向うあらたなノイズ(サウンド)を作り始め、この頃より独自の道を模索していく。現在は、自然音と、テクノロジーから生み出される瞑想的なサウンドをよりハイブリッドにした作風となっている。それは、ほとんど「沈黙」とも言える「静寂」への深い関心により気づくことができるようなサウンドといえる。1997年にレーベル「12k」を立ち上げ、アコースティック・アヴァンギャルド、ポストロックから派生したインストルメンタル、テクノとアンビエントを極端なまでに融合した作品など、地平を共有する、今日、もっとも重要と言われているミュージシャンやアーティスト達による80以上の作品を送り出している。